11月の香ディネート
「香ディネート(コーディネート) 」。 その時期のおすすめの香りと器をピックアップし、 さまざまな日常のシーンに合わせた「香りある豊かな暮らし」をご紹介する企画です。 暮らしの中に香りを取り入れて、毎日がより豊かになるようなご提案ができればと思います。
香りで心の暖をとる
新しい習慣をこたつ開きとともに
心地よい秋がうつろい、寒さを感じる時節になってきました。
毛布やこたつ、ふかふかのカーペットが頭をよぎり始めるのもこの頃です。
今回はそんなこたつ開きや炉開きの季節に合わせ、柔らかな香りと重厚感のある香炉のセット、心がじんわり温まるような「香りで暖をとる香ディネート」をご紹介いたします。
お香の歴史に思いを馳せて
お線香に限らず、コーン型や渦巻型など生活に馴染むように形を変えてきたお香ですが、歴史を遡ってゆくと平安貴族のあいだで”薫物(たきもの)”として「練香」が親しまれていたのをご存知でしょうか。
「練香」とは粉末にした様々な香料に、蜜や梅肉などを加えて練り上げ、一定期間熟成させた丸薬状のお香です。
平安時代の文学にも“薫物”という名前で登場し、生活の中で香りが楽しまれていました。
松栄堂の「練香 梅が香」は白檀の酸味を梅の花に見立てた、伝統的な練香の香りです。
日常から少し離れて、数百年前の人々が親しんだ香りに想いを馳せる時間を演出してくれます。
ゆったり広がる香りに
重厚感と華やかさのある焼き物をあわせて
焼〆の肌にきらりと金彩が映える、落ち着いた印象の清水焼の香炉「南蛮焼〆金彩」です。
ざらりとした焼〆独特の質感と、控えめに輝く金彩が織りなす上品な佇まいが目を惹きます。
練香を香炉で焚く際は、灰と炭を用いる「空薫(そらだき)」でその繊細な香りを楽しみます。
こたつ開きは亥の子の日
火を入れても火事にならないと言われている、亥の月の最初の亥の日である「亥の子の日」。
新暦では、今年は11月1日にあたります。
暖房器具を取り出すのに良いとされ、こたつ開きの風習や炉開きがあるこの時期に、自宅でほっこり、練香を楽しんでみてはいかがでしょうか。
香炉を使う際は、火の扱いに十分に気をつけてくださいね。
ゆっくりじわりと広がるやさしい香りと、あたたかみと重厚感のある香炉で、心の暖をとる香ディネートをお届けします。