7月の香ディネート
「香ディネート(コーディネート) 」。
その時期のおすすめの香りと器をピックアップし、さまざまな日常のシーンに合わせた「香りある豊かな暮らし」をご紹介する企画です。
暮らしの中に香りを取り入れて、毎日がより豊かになるようなご提案ができればと思います。
夜明けとともに開く花
夏の訪れを告げるように
梅雨が明ければいよいよ夏の到来です。
今年も暑い日々が続くのでしょうか。
蝉の声が聞こえ始めるころ、各地のお寺の池に咲き始める花があります。
古くから人々に愛される「蓮の花」をテーマに、梅雨と夏の入りにかけて楽しみたい「香ディネート」です。
泥より出でて泥に染まらず
清く美しく 夜明けに咲く花
梅雨明けの時期から、各地のお盆にかけて咲く蓮の花。
泥水の中でも清らかに咲く姿や、玉のように美しい水滴を葉に置く様子から、
混沌とした世の中で悟りを開く象徴、仏の教えに通じる花として語られてきました。
蓮の開いた花弁の中に鼻をうずめると、優しく澄んだ香りに包まれます。
蓮の名所と呼ばれるお庭やお寺は各地に多く、ぜひこの時期、香りを確かめにお出かけになってはいかがでしょうか。
雨の中で姫を待つ薫の君
露をはらう袖より漂う香りは
『源氏物語』にちなんだ商品シリーズ「源氏かおり抄」に、蓮の花をイメージした香りがあります。
「源氏かおり抄 東屋 はちす」は、浮舟の隠れ家を訪れる薫の詠んだ歌からイメージを広げた香りです。
さしとむるむぐらやしげき 東屋の
あまりほどふる 雨そそきかな
(東屋に葎が生い茂って戸口を塞いでしまったのだろうか。
あまりに長い間、雨の落ちる中で待たされるものだ)
想いを寄せた亡き大君に生き写しの女性、浮舟に言い寄る薫。
雨の中を隠れ家まで訪れることに戸惑いつつも心動かれる浮舟。
男性たちの間で翻弄される浮舟の、切ない物語が始まる章でもあります。
仏の身にあると言われる芳香を生まれながらに備えていたという薫が、
雨露を払いながらようやく東屋に上げられたとき、そこには一体どんな香りが広がったのでしょうか。
2024年1月にパッケージをリニューアルし、手に取りやすいケースとなりました。
ぜひこの機会に、松栄堂がイメージする薫の君の香りをお楽しみください。
雨の日にも、夏の朝にも
蓮の姿に心を寄せて
湿地帯から美しく咲き誇る姿を、
「四方香皿 瑠璃色」と「折々の香立 蓮華」で見立れば、
夜明けの情景が広がるようです。
まだ暗い曙の中で咲く蓮の花、そこから漂う静かな香り。
「源氏かおり抄 東屋 はちす」を1本立てたなら、
雨が続くしっとりした日にも、もう花が閉じてしまったような時間にも、
清く咲く「蓮」の風情を楽しむことができます。
香皿香立とセットにしてお包みすることもできます。
天上の世界に咲く蓮の香りの「香ディネート」、夏の贈りものにいかがでしょうか。
梅雨が明ければ暑さもひとしお。
厳しい夏の京都より、心を込めてお届けいたします。