11月の香ディネート
「香ディネート(コーディネート) 」。
その時期のおすすめの香りと器をピックアップし、さまざまな日常のシーンに合わせた「香りある豊かな暮らし」をご紹介する企画です。
暮らしの中に香りを取り入れて、毎日がより豊かになるようなご提案ができればと思います。
「いづれの御時にか……」
世界に誇る古典に触れつつ「お香はじめ」
11月1日は「古典の日」です。
世界最古の長編小説と言われる『源氏物語』、
その存在が記録上確認できる最も古い日付にちなみ制定されました。
今月も「源氏かおり抄」より、その始まりの帖にちなんだお香をご紹介します。
「ひいな香炉」と「源氏かおり抄 桐壷」で、空薫を楽しむ「香ディネート」です。
11月1日は古典の日
香りで出会う『源氏物語』の世界
『紫式部日記』の日付で寛弘5年(西暦1008年)11月1日。
藤原公任が酔いの戯れに、紫式部に対し「若紫」の居場所を尋ねます。
これが『源氏物語』が歴史上初めて記録されたものとされ、
その千年目にあたる2008年、「古典の日」として宣言されました。
古典文学の至宝とされる『源氏物語』と、古より愛され続けてきた「香」。
その二つの世界をひもときながらご案内する「源氏かおり抄」シリーズ。
各帖の象徴的な場面やモチーフをもとに商品を制作しました。
千年読み継がれる古典の冒頭
今日から始める「印香」の第一歩
いづれの御時にか、女御・更衣あまたさぶらひ給ひける中に
いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり……
誰もが目にする冒頭の一文。運命の物語が始まる「桐壷」の帖です。
不遇な母の身の上と、光る君が誕生して元服するまでの美しさが語られます。
「源氏かおり抄 桐壷」は、香之図をデザインしたたとう紙の中に、烏帽子型の印香(いんこう)を30粒詰めました。
印香には、大宮人にちなんだ桐の紋をあしらっています。
炭を用い、熱した灰などの上で温めることによって香りを放つ印香。
灰や炭を使う「空薫」にまだ挑戦したことのない方に、ぜひおすすめしたい香炉があります。
灰を使わず印香を楽しむ
初めての空薫にも
「ひいな香炉」は、灰を使わずに印香や練香・香木を楽しめるよう、
「みやこ炭 A」に合わせてつくられた松栄堂オリジナルの香炉です。
「みやこ炭A」を一つ取り出し、ライターなどで火をつけます。
角に火を当て、炭の一辺が白くなってきたら火を消し、そのまま燃え進むまで待ってください。
「ひいな香炉」の燃焼網を外し、中央の金具に炭をセットします。
火をつけた部分を下にして、金具に炭をはめるように置いてください。
燃焼網を乗せた上に、「源氏かおり抄 桐壷」の印香をひとつ置きます。
お香は炭に近付けすぎると煙を発したり、焦げたりしてしまいます。
かといって離しすぎると熱が届かず、香りも発してくれません。
最初はほどよい距離感を見つけるのが難しいかもしれませんが、
香りが届くのを心待ちに、急がず焦らず、ゆったりと時間をかけてください。
しばらくすると、気品高い和の香りが漂い始めます。
竹を割ったような「ひいな香炉」に佇む美しい姿は、
竹取りに出かけたおじいさんが、薮で出会った姫のような……というのは、
古典ととは言えどまた別の物語、ですね。
火を使わず、場所を問わず、お手軽に
忙しい合間の一服には
とはいえ間もなく師走。
やるべきこともやりたいことも多すぎる方には、
炭に火をつける時間も惜しいと思われるかもしれません。
そんな時に、充電式電気香炉「こづつSARA」はいかがでしょうか。
もちろん今回ご紹介した「源氏かおり抄 桐壷」もご使用いただけます。
使い方は「ひとたき香炉 こづつSARA」特設ページをご覧ください。
> 「ひとたき香炉 こづつSARA」特設ページ
1000年、国内外で読み継がれてきた古典の名作『源氏物語』。
いつ読み始めても、遅いことはありません。
温かさが恋しくなる晩秋から初冬にかけて、炭火でほっこりと、
和の香りを楽しむ時間はいかがでしょうか。