
9月の香ディネート
「香ディネート(コーディネート) 」。
その時期のおすすめの香りと器をピックアップし、さまざまな日常のシーンに合わせた「香りある豊かな暮らし」をご紹介する企画です。
暮らしの中に香りを取り入れて、毎日がより豊かになるようなご提案ができればと思います。
世界の国へ、こんにちは
香りにのせて届けたい思い

55年ぶりに大阪で開催されている「大阪・関西万博」。
世界中の国々が夢洲に集まり、各地の文化や産業・技術などを発信し合う一大祭典です。
4月から始まった万博の会期も、いよいよ終盤となってまいりました。
今月はさまざまな「博覧会と松栄堂」をテーマに、
これまで松栄堂が世界に向けてどんな香りを発信してきたかを取り上げます。
大阪・関西万博会場に行った方も未だの方も、ご予定がないという方にも、
「いのち輝く」香りある暮らしの一助になれば幸いです。
お香の香りある暮らしを世界へ
花の香りに託した思い

明治30年、円錐形の「香水香」を開発し、日本初の対米輸出に成功しました。
お線香に馴染みのない西洋文化圏の方にも楽しんでいただけるよう、お香を円錐(コーン)形に成形することで、
初めての方にも扱いやすいように工夫し、香りも香水をイメージした香りで提案した商品です。
のちに「花世界」と名付けられるこの商品を、昭和9年のシカゴ万博に出品した松栄堂は、
翌年に博覧会協会より「率先参加」「成績顕著」として記念状をいただいています。
その後今日まで国内外のお客様にご愛顧いただき、2021年には「六種花世界」としてリニューアル。
今もたくさんの方にご愛用いただいております。
> 香水香 花世界シリーズ
香りの歴史 インセンスロード
シルクロードを通って平城宮へ

昭和63年、奈良公園一帯および平城宮跡を会場に「なら・シルクロード博」が開催されました。
古代のアジア・ヨーロッパを結ぶ東西交通路「シルクロード」東の終着地・奈良において、
「民族の英知とロマン」をメインテーマに半年間開催された、文化の国際博覧会です。
この会場入り口ゲート付近にて、松栄堂は「香の休憩所」と名付けたブースを出展。
仏教の広がりとともに、インドから中央アジア、そして奈良へもたらされた香の歴史に取材し、
「インセンスロード」シリーズを提案いたしました。
> インセンスロードシリーズ
多様ないのちと文化が出会い響き合う、未来の序章
「はじまり」を寿ぐ古歌に託して

そして令和7年、大阪・関西万博が開幕しました。
松栄堂がこの会場内のショップに出店することが決まった際、
その出品テーマとした古い和歌があります。
なにわづに 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花
『古今和歌集 仮名序』で「なにはづのうた」として紹介されるこの和歌は、
はるか昔、新たに即位した天皇の、治世繁栄を願って詠まれた歌とされています。
長い冬を耐え、春の訪れを知らせるように、難波津に梅の花が咲く喜び。
外来の花として日本に根付いた梅がもたらされたように、
大阪の港・難波津は海外文化の玄関口でもありました。

「なにはづのうた」は「手習う人のはじめにもしける」と言われたように書道の初学に用いられたり、
競技かるたの序歌として、競技の開始時に読まれたりと、
まさに「はじまり」を象徴するような和歌と言えます。
大阪・関西万博会場である夢洲を、古い大阪の港・難波津に見立て、
新しい時代への期待をこめた香りを提案できないか、という想いから
特別商品「なにわづの夢」は生まれました。

青色の「なにわづの海」はさわやかなマリン系の香り。
あまねく広がる海をイメージした香りです。
赤色の「なにわづの花」は華やかな花々の香りで
きらりと輝くように、火をつけると瞬間的に香るのが特徴です。

和紙のパッケージは光を通してみると透かしが入っています。
梅鉢文様になっているのは「なにはづのうた」に梅が読まれているから。
ちょっとしたこだわりですが、気づいていただけると嬉しいです。
あまねく広がる香りに乗せて
夢に満ちた未来を願う贈りもの

繁茂しやすいヒシ科の植物に重ね、子孫繁栄や無病息災の願いが込められる菱文様。
扇状に重なる波を繰り返す青海波は、果てしない波に未来の平穏や末広がりの繁栄を願います。
この二つの文様を重ねた「菱青海波」は、末広がりの未来を願う吉祥柄です。
きらめく海のような「四方香皿 水色」に「折々の香立 菱青海波」を乗せて、
現代の難波津・夢洲からあまねく広がる景色をお楽しみください。
めでたい柄に感謝を込めて、敬老の日のプレゼントにもいかがでしょうか。
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