
10月の香ディネート
「香ディネート」は、毎月さまざまな暮らしのシーンや季節に合わせて、おすすめの香りと器の組み合わせ(コーディネート)をご紹介する連載コラムです。
お気に入りの「香ディネート」で、「香りある豊かな暮らし」をお楽しみください。
菊咲き誇り 深まる秋
移ろう自然になぞらえて

重陽の節句は、旧暦9月9日(現在の10月中・下旬頃)に行われていた五節句の一つで、無病息災や不老長寿を願う行事です。
新暦の9月9日はまだ残暑が厳しく菊には早い時期ですが、旧暦では菊が美しく咲く秋の深まる時期。
現在でも菊を用いた風習が残っています。
今月は、そんな菊の花に焦点を当て、深まる秋を感じる香ディネートです。
しん……と静かに
秘めた心 ほろ苦く

季節を表現できるのも、香りの面白い特徴です。
松栄堂のアイテムの中にも秋を連想する香りはいくつかあります。
中でも源氏物語の世界を香りに乗せてお届けする「源氏かおり抄」シリーズより、第39帖「夕霧」に取材した「源氏かおり抄 夕霧 山里」は、菊花に似た落ち着いた香りです。

山里のあはれを添ふる夕霧に たち出でむ空もなき心地して
夕霧は想いを寄せる落葉宮への切ない心を秘めながら、日を追って秋の深まる小野の山里を訪ねます。

焚く前の上匂い(うわにおい)は、まろやかな甘さを感じますが、火をつけると酸味と甘味、菊のようなほろ苦さが広がります。
漂う香りは夕霧の切ない恋心と秋の情景に重なるようです。
夕霧が見た秋の山里はどんな風景だったのでしょうか。
秋の雨 広がる花弁
つるりと柔らかい白色と合わせて

菊を用いたアイテムは、お香だけではありません。
月々の風情を切り取ったシリーズ「四季の香立」より、「四季の香立 時雨月」は秋雨に濡れた小菊がしっとりと香りを放つ情景を描写した香立です。
色とりどりの花弁は上品でありながら、愛らしさも感じられます。

「四季の香立 時雨月」には「六角香皿 白」はいかがでしょうか。
瀬戸焼の優しい風合いと、柔らかさが暮らしのなかにも溶け込んでくれます。
落ち着いた白色にそっと広がるピンク、紺の菊の花。
深い黄色の「山里」をたててみると小菊の花弁がお香の色が重なり、見た目も楽しい香ディネートに。
香立、香皿の組み合わせを変えて、見た目からも季節の移ろいを楽しんでみましょう。

秋雨の音、色を変える山々、そよぐ風に寒さを覚え始め、深まっていく秋。
切なく美しい秋の情景を、お香でも感じてみませんか。
松栄堂は、10月より開催される特別展「源氏物語 王朝のかがやき」(京都会場)に協賛しています。
源氏物語の世界を展覧会でもお楽しみください。
特別展「源氏物語 王朝のかがやき」
会場:京都国立博物館 平成知新館
会期:2026年10月6日(火)_11月29日(日)
> 公式サイト















